さあ、縦走も完了。難しい岩場もクリア。硬い握手もした。一路下界を目指し、一杯のビールを目指して駆け下るのだ！
、、、が、しかし・・・
快調に下って行くと、突然渋滞にハマッてしまった。
団体ツアーさん達３０人ほどのひと塊である。
なれない人がおられるのか、最後尾では立ち止まることもしばしば。
こころの中で「おーい、たのむよ〜」
暫く牛歩戦術に巻き込まれて歩くのであった。
すぐ前を行く数人の一般者も迷惑顔。
登りの歩みを長く止めて、パスしなくてはならない人も可哀想・・・
構成上ツアーさん達は、ひとつのチームでないから、実は最悪。
今回良く分かった。
別にしんがりの人は、リーダーでも何でもなく、ただイキガカリ上最後尾を歩いているのにすぎないのだ。
だから、止まってパスしてくれる登山者に謝るのは、そう！我々の仕事なのだ！
「スイマセン」「アリガトウゴザイマス」・・・
だんだん、腹が煮えくり返ってきた！
「スイマセン、俺達団体じゃありませんけどぉ。」「有り難う御座います。俺達、前とは別ですけどぉ。」
ムラムラムラ〜〜〜！
そこで突然、敵歩兵大隊の背後につける亀足隊長の目が光ったのである！
つづらをショートカットする踏み跡を発見したのである！
隊長の鋭敏な機体は、考える間もなく（なにも考えず）単機きびすを返して急降下！
敵の中段、ドテッパラに突入していったのである。ナムサン！！
隊長は、敵の中段を撹乱し、そこで敵と交信する。
「あ〜ら、すんませ〜ん」
敵もやっと気が付き、「道を開けてくださ〜い」
これで、やっと後ろのみんなが通れたのでＲ。
我が亀足皇軍の勝利なのだ！
これで通常の巡航速度に戻り、下山後のビールなぞ頭に浮かべて歩き出す。
しか〜し、敵の陣形はそんなに甘いものではなかった。
ほどなく行くと、敵歩兵第二大隊に追いついてしまったのだ。
不肖小生は、深〜い溜息を飲みこんだのであった。
するとどうだろう。
今度の敵のしんがりは、早くも不肖小生の姿を発見。速やかに伝令をとばしている。
しんがり歩兵「お〜い、急行で〜す。あけて下さ〜い」
「あ、どうも、有り難うっす。」
その前の歩兵「お〜い、特急で〜す。」
…おいおい、俺は亀足だもん、別に早くないよ…
その前の前の歩兵「お〜い、超特急で〜す！」
…ちょっと待てよ、あなた達が遅いんでしょ！…
その前の〜〜歩兵「お〜い、飛行機だぞ〜！！」
…俺をネタに言葉遊びすんなよ！なんか悪い事したかよ！…
その前の〜〜〜歩兵「ロケット、ロケットォ〜！！」
登山道の両脇に３０人もの人が寄った中を、そんな言葉の集中砲火を浴びて歩いていく亀足隊長機は、ついに黒煙を噴き出し、火達磨となって山間の谷底へと音も無く落ちて行くのであった・・・・・・
嗚呼・・・・嗚呼・・・
2000年9月１日